act2.少女との出会い

最初に沈黙をやぶったのは少女の方だった
「あんたこんなところで何やってんのよ!?
危うくやられるところだったじゃない」
「あのモンスターはどこいったんだ?」
「あたしが倒したのよ」
謎の少女のセリフにスティーブは動揺を隠せなかった。
仮にも剣士である自分がたおせなかったモンスターをこんな少女が
倒したというのだ。
「何?その不信そうな目は?何か文句でもあるわけ?」
(初対面なのに、なんて口の悪い女だろう…)
この茶色の髪に赤メッシュの入ったどこかの制服を着た自分と同い年くらいの少女への
第一印象である…。
「あ、いや…どうやって倒したんだろうと思って。」
とっさにスティーブは口を開いた。実際、そう思ったことは事実ではあるのだが。
「あんたなんかに教える義理はないわよ」
第一印象から、まともな答えが返ってくるとは期待していなかったのだが、やはりへこんだ。
「じゃ、あたし忙しいから。」
そういい残して謎の少女は去っていった。
あっという間の出来事にスティーブは口をあけてぽかんとたたずんでいた。
また水滴がピシャーン…と音をたてている…。
ずぐに我に返ったスティーブは後を追おうとしたが彼女の姿は既になかったが
なんとか来た道を戻りダンジョンの外に出ることが出来た。
あのおじさんの言ったことはデマだったんだな、とスティーブは思った。
所詮、噂は噂だったらしい。
「よし、王都までもう少しだ。」

少年は、再び王都を目指して歩き出した。
確実にレベルアップをしつつ、少年は王都に辿り着いた。
王都ブリスベーンは「流通の都」とも呼ばれ、世界各地のいろいろな物が
行き交いしている。
大通りにでたスティーブはまず腹ごしらえをするために、パンを大量に買い占めた。
財布が邪魔だったのでパンを取るのと入れ替えに袋の中に落とした。
すると、とても美味しそうな臭いが鼻をかすめた。
臭いにつられ、フラフラとあるレストランの前に辿り着いた。
「おお、美味そう」
もう既にパンは眼中になくなり目の前を歩いてきた金髪の女に
一方的に差し出し、さっさとレストランの中へ入っていった。
「…?あ、財布…」
受け取った女はボソっとつぶやき見なかったことにして歩いていった。

カランカラン…
ドアを開ける音と同時に
「いらっしゃいませ〜何にしますか?」
「じゃあ、この店で一番美味いものください」
ウエイトレスの問いにスティーブが答えた。
案内された席に座り、一息ついて顔をあげると目の前に座っていた少女とふと目が合った。
同時に
「あ…」
と声を漏らした
「キミは…!ダンジョンの…」
そう、その少女はスティーブがダンジョンで出会ったあの謎の少女だったのだ。
「ああ、あんたこの前の…!」
と言うのと同時に少女にはとある考えが浮かんだ。
(コイツすっげー気弱そうだから奢れっていったら奢ってくれるかも…)
「あの〜一緒に食べない?一人じゃ寂しいから」
単純なスティーブはそれなら、と席を移動した
「あたし、ラノマ・ギルバート。あんたは?」
「スティーブ・グリーウッドって言うんだ。キミはどうしてこの前あんなところにいたんだ?」
ずっと疑問に思っていたことをやっと訊くことができた。
「アカデミーの演習で来てたのよ。あたし、封印術士の卵なのよ」
「へぇ〜、すごいね」
「まぁね、あんたこそ何であんなトコにいたのよ」
「噂であそこのダンジョンはかなりレベルアップできるって聞いたから。
 あと、美味いモンスターとかいるかな〜と思って」
「バッカじゃない。そんなのデマに決まってるじゃない。」
そんなこんな話しているうちにスティーブの料理が運ばれてきた。
「いただきまーす」
すっかりお腹をすかせていたスティーブはすぐにたいらげてしまった。
ふと伝票をに目を通すと、かなり高い値段が表記してあった。
(やべ、こんなに金あったかな…)
財布を確認しようとするが、ドコにもない。
手探りであちこち探してみるが財布の姿はドコにもない
(ヤバイ!落とした…)
「どうしたの?」
不信そうなラノマに
「ゴメン、ちょっとトイレ行って来る。食べてて」
と言って、裏口へダッシュした。
いわゆる食い逃げである。
こんな気の弱いヤツでもするのだから、世も末である。
…数10分後。
「ああ!!!遅い!!!何やってんのよ、アイツ…」
むかついたので帰ろうとして、レジで精算しようとするとウエイターに
「お連れ様の分もお願いします」
「ちょっと!!何であたしがアイツの分まではらわなきゃいけないのよっ!!」
「お客様のお連れ様が裏口がでていくのを従業員がみております」
「何ですって!食い逃げ!?」
怒り狂ったラノマにさらに追い討ちをかけるように
「いいえ、お客様と同じ席で召し上がっていたので、お客様が払うべきです」
と、くどくどとウエイターが説明をしたので結局ラノマがスティーブの分も払って店をあとにした
(ムカツクーーーーーーーーッ!!!あの男ぉ、見つけたらぶっ殺す!!)
ヒステリーをおこして大通りをずかずかと目を光らせながら突き進んでいく。

そのころ当の張本人のスティーブは
「はー…ここまで逃げれば大丈夫だろう…」
と大通りから少し離れた路地裏に隠れていた。
が、しかしすぐ傍にもうラノマは来ていた…
目の前をラノマの姿が通り過ぎていくのが見え、スティーブはとっさに物陰に隠れた
(な、なんだあの女早すぎるぞ…。しばらくココに隠れていよう)
とふと一息ついたスティーブの足元に二つの人影が現れた


act2・END



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