act1.旅立ち

 時は流れて…

 「スティーブ、気をつけてね」
 「わかってるよ母さん。こんなんでもオレはこの村で一番剣が強いんだから」
 この、村で一番剣の強いという銀色の髪を真ん中で分けている
たれ目の気の弱そうな少年は答えた。
 「じゃあ、また戻ってくるよ」
そういい残して彼、スティーブはボショイ村をあとにした。
これから数々の困難が待ち受けていることも知らずに…。

 彼はこれから、このボショイ村からはるか何百キロも離れた王都ブリスベーンに向かい
旅立つのだ。そもそも、この少年、村一番の剣の使い手といっても、
とある噂を聞き真相を確かめに王都に行くために、最近剣術を磨き始めたばかりでなので
怪しいところである。

「王都までどうやって行こうかな…」
いきなり壁にぶつかった。
…しかし、しばらく考えた後とりあえず歩き出した。
この広い荒野をあても無くただ王都だけを目指して…
途中数匹のモンスターを倒し、食料とし、野宿を続けながら
ちゃくちゃくと王都へ向かっていった。
しかし彼の体力にも限界があった。
食料も底を尽き、歩きっぱなしのスティーブは
「もう…ダメだ…」
ドサッ、とこの広大な荒野に倒れこんでしまった。
「むっ!人が倒れてる…!?」
それから数分もたたないうちに馬に乗った一人の男が通りかかった。
「しっかりしろ!」
必死に意識を取り戻させようとスティーブの頬を叩いた。
「う…ん」
右手で頬を抑えながらスティーブが目を覚ます。
何があったのかと聞いてきた男にスティーブは事の成り行きを話した。
すると男もちょうど王都へ行く途中だったのである。
そんなこんなでスティーブは馬に乗せてもらうことになった。

一週間程馬に揺られながらスティーブの旅は続いた。
「お前さん知ってるか?王都に行く途中にはとても危険なダンジョンがあるんだ。
聞いた話によるとそこへ行ったきり帰ってこない輩も後をたたないらしい」
「ええっ!そんな危険なトコがあるんですか??じゃあこれからそこを通るんですか?」
いきなり持ちかけられた男の話にスティーブは興味を持った。
「大丈夫だ。オレ達はそこは迂回して王都に向かうつもりだ。しかしそのダンジョンを攻略すると
 かなりレベルアップするらしいぞ」
「本当ですか?」
スティーブも一応剣士である。そんなおいしい話にのらないはずもない。
「あんたもしかして…。行くつもりかい!?やめとけやめとけあそこは危険だ」
「そこに近づいたらオレを降ろしてください」
必死に止めようとする男の話も聞こうとせずスティーブはそのダンジョンへ行くことを決めた。
(もしかしたら美味い肉のモンスターに出会えるかもしれないしな…)

「ありがとうございましたっ。オレ、スティーブ・グリーンウッドって言います。
オジさんのこと忘れません。じゃ。」
「おう、オレもあんたのことは忘れないぜ、危険なダンジョンに自ら行こうとした無謀者としてな
生きて出てこれたらまた会おうぜ」
(え、縁起の悪いことを…)
そう思いながらスティーブはダンジョンを目の前にたたずんだ。

ピシャーン…
雫が洞窟の天井から滴り落ちる音が鳴り響いている。
いかにも、という雰囲気だ。
恐る恐る奥へと進んで行く。
「キシャーーーッ」
突然背後からモンスターに襲われた!気づいたときにはもう遅かった。
モンスターのするどい爪がスティーブの背後めがけて振り下ろされかけた。
「やられるっ!」
そう思って目を閉じた瞬間まばゆい光がモンスターを包み込み、
スティーブが目を開けると、目の前にモンスターの姿はなかった…。
「危なかったわね」
見知らぬ少女が角から姿を現した。
「キミは誰だ?」
二人の間で沈黙が続いている…

act1・END



back
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送